「おはよう、理人くん!」

「ふふっ、おはよう結永。そのマフラー、とっても似合ってるよ」

「えへへ、ありがとう!実は彼氏からもらっちゃって」

「……彼氏?」


私の朝はこうして始まる。お隣に住んでいる峯岸理人くんは、小さい頃からずっと一緒の一つ歳上の頼れるお兄ちゃん的存在だ。


イケメンで、お金持ちで。少女漫画の王子様のような人。


一方で私は平凡な特別可愛いわけでもない、そこら辺にいるような高校1年生。



だけど今、割とピンチ?



「うん、彼氏!まだ理人くんには言ってないんだけどね、私彼氏できちゃったんだ〜」


人生2人目の彼氏だ。


「理人くんは、彼女とかいないの?」

「いるよ、妄想の中でね」

「……妄想?」


なんというか、理人くんはたまにオタクっぽいことを言う。勝手に、二次元の彼女でもいるのだと思っているけれど。



「今日とっても可愛いマフラーを……いや、薄汚いマフラーを巻いた美しくて可憐な彼女なんだ」

「へぇ〜!」


マフラー一緒だ。


「ね、結永君のことだ———」

「おはよ!結永!」

「あっ!悠介くん〜!!おはよ!」


目の前に彼氏登場!一気に嬉しくなって、近づいていく。



「マフラー、とってもあったかくて可愛くて、本当お気に入りなんだ!ありがとう!」

「へへっ、そのぐらい全然。結永本当似合ってる、マフラーより可愛いよ」

「ええっ、ありがとう……!!」