顔を見られないよう紘に背を向けて、柔らかい布団を首元の方まで引き寄せる。じっと動かず、呼吸を繰り返して。時折唾を飲む。ほんのりとではあるが、まだ飴の味が残っていた。
「睡眠の邪魔をするつもりはないから、俺は教室に戻るけど、瞬は快復するまで起きんなよ」
背後で紘が丸椅子から立ち上がる、その些細な空気の揺れを感じた。続けて、仕切りカーテンの閉められる音。紘の気配はカーテンの向こう側にあった。
俺の返答を待たずに、言いたいことをさっさと言って、無駄のない動作でさっさと動いて、最終的には布団に籠もる選択を自らがした俺を一人にさせる紘は、さっさと保健室から出て行ってしまった。嵐のような人だった。
紘がいなくなり、静寂に包まれる保健室のベッドの上で、俺はただただ息をした。息をしながら、意識的に身体の力を抜いた。ここにはもう誰もいない。自分しかいない。安心して休んでしまえばいい。どうせ教室には戻れない。クラスメートの不満の捌け口となってしまった以上、あの場にケーキの篠塚がいる以上、のこのこと戻ることなどできない。
嫌な形で目をつけられてしまった俺をここへ連れ出し、半ば強制的に寝させ、そのまま元の場所に戻って行った紘のことが心配になったが、俺を貶めるような発言をした人をぶっ飛ばしそうになったという強気な紘のことだ。その衝動を抑え、ただの挑発で済ませた紘のことだ。俺が懸念するようなことは何も起こらないだろう。クラスメートからの集中砲火に追い詰められて病んでしまったり、本当にぶっ飛ばしてしまったりすることなど。
いつもと違う教室の空気に飲み込まれそうになったところを救出してくれた紘が作ってくれた、誰にも邪魔されない一人の時間を大事にするように、俺は静かに瞼を閉じた。我慢してばかりの日々に、自分が思っているよりも身体は疲労を感じていたのだろうか、全身に感じる重みと共に意識が薄らいでいった。
「睡眠の邪魔をするつもりはないから、俺は教室に戻るけど、瞬は快復するまで起きんなよ」
背後で紘が丸椅子から立ち上がる、その些細な空気の揺れを感じた。続けて、仕切りカーテンの閉められる音。紘の気配はカーテンの向こう側にあった。
俺の返答を待たずに、言いたいことをさっさと言って、無駄のない動作でさっさと動いて、最終的には布団に籠もる選択を自らがした俺を一人にさせる紘は、さっさと保健室から出て行ってしまった。嵐のような人だった。
紘がいなくなり、静寂に包まれる保健室のベッドの上で、俺はただただ息をした。息をしながら、意識的に身体の力を抜いた。ここにはもう誰もいない。自分しかいない。安心して休んでしまえばいい。どうせ教室には戻れない。クラスメートの不満の捌け口となってしまった以上、あの場にケーキの篠塚がいる以上、のこのこと戻ることなどできない。
嫌な形で目をつけられてしまった俺をここへ連れ出し、半ば強制的に寝させ、そのまま元の場所に戻って行った紘のことが心配になったが、俺を貶めるような発言をした人をぶっ飛ばしそうになったという強気な紘のことだ。その衝動を抑え、ただの挑発で済ませた紘のことだ。俺が懸念するようなことは何も起こらないだろう。クラスメートからの集中砲火に追い詰められて病んでしまったり、本当にぶっ飛ばしてしまったりすることなど。
いつもと違う教室の空気に飲み込まれそうになったところを救出してくれた紘が作ってくれた、誰にも邪魔されない一人の時間を大事にするように、俺は静かに瞼を閉じた。我慢してばかりの日々に、自分が思っているよりも身体は疲労を感じていたのだろうか、全身に感じる重みと共に意識が薄らいでいった。



