もう、言えば。言えばいいのか。言えば。知りたがっている人は全員ケーキではないと。でも、そうしてしまうと、自分がフォークであることを認めることになる。この場には篠塚もいる。彼は既に勘付いているかもしれないが、それでも、このような形で明かすのは憚られた。激しい食欲のせいで彼には近づくことすらできないでいるのに、自ら近づかないようにしているのに、それなのに、自分がフォークであることは、面と向かって伝えたいなどと思ってしまうのだった。第三者に扇動されて、ではなく、冷静な時に、自分の意思で。
篠塚を避けているにも拘らず、そのような理想を並べ立てる俺は、あまりにも勝手で、あまりにも矛盾していた。理想を現実にする余力など、今はないといっても過言ではないのに。自分のことで精一杯な中で、面と向かって伝えることなど到底できるはずもなかった。暴走して、自分を見失って、終わりだ。一巻の終わりだ。
口を噤んだまま、溜まる唾液をごくりと飲む。目が自然と篠塚を探そうとする。ケーキではない人の相手などしたくない。ケーキではない人に興味などない。俺が興味を持っているのは、ケーキである篠塚だけだ。
かけられる圧力から顔を背けるように、まとまらない思考を放り出すように、俺は篠塚を目だけで探した。食べたくて、食べたくて、吐きそうだった。
フォークっぽいと言われても、一言も声を発さない、発せない俺に対し、不服そうに文句を垂れる生徒の声が徐々に増えていくのを肌で感じながらも、人と人の間から、目的の人物を見つけ出した。視線が絡まる。俺を追い詰めるような眼差しを向けている人たちと違って、その目は、篠塚のその目は、俺を心配するような、この状況を不安に思っているような、そんな感情を孕んでいるように見えた。篠塚らしい慈悲のあるその感情すら丸ごと喰ってしまいたくなる。篠塚の全部が欲しくて欲しくて堪らなくなる。俺がフォークだから、篠塚がケーキだから、そう思うのだ。
篠塚を避けているにも拘らず、そのような理想を並べ立てる俺は、あまりにも勝手で、あまりにも矛盾していた。理想を現実にする余力など、今はないといっても過言ではないのに。自分のことで精一杯な中で、面と向かって伝えることなど到底できるはずもなかった。暴走して、自分を見失って、終わりだ。一巻の終わりだ。
口を噤んだまま、溜まる唾液をごくりと飲む。目が自然と篠塚を探そうとする。ケーキではない人の相手などしたくない。ケーキではない人に興味などない。俺が興味を持っているのは、ケーキである篠塚だけだ。
かけられる圧力から顔を背けるように、まとまらない思考を放り出すように、俺は篠塚を目だけで探した。食べたくて、食べたくて、吐きそうだった。
フォークっぽいと言われても、一言も声を発さない、発せない俺に対し、不服そうに文句を垂れる生徒の声が徐々に増えていくのを肌で感じながらも、人と人の間から、目的の人物を見つけ出した。視線が絡まる。俺を追い詰めるような眼差しを向けている人たちと違って、その目は、篠塚のその目は、俺を心配するような、この状況を不安に思っているような、そんな感情を孕んでいるように見えた。篠塚らしい慈悲のあるその感情すら丸ごと喰ってしまいたくなる。篠塚の全部が欲しくて欲しくて堪らなくなる。俺がフォークだから、篠塚がケーキだから、そう思うのだ。



