「ガトーショコラ、ちょっと食っていい?」
どうにかして味を感じようと篠塚のことすら脳内で利用しながら真顔で奮闘していると、横から紘のフォークが伸びてきた。ガトーショコラを狙っている。まだ許可を下してはいないが、それは遅いか早いかの問題で。俺は返事の代わりに皿を紘の方へ僅かに押しやった。
フォークを持つ俺の左手が重たい理由を、紘は知っている。自分が食べたいだけなのかもしれないが、彼なりに完食の手助けをしようとしてくれているのだろうと良いように捉えた。
「濃厚だな、美味い。篠塚も食ってみる?」
我が物顔で篠塚にも食べさせようとする紘は、俺から引き継ぐように、端の方が欠けたガトーショコラの載った皿を篠塚の方へ移動させた。
イチゴパフェを静かに食していた篠塚は、動きを止め、窺うように俺に目を向けた。紘みたいに図々しくはない篠塚は、しっかり許可をもらおうとしている。真面目な人だ。ちゃらんぽらんな紘がいるせいか、それがより一層際立っているように見えた。
遠慮しなくてもいいのに、という意味を込めて、食いたかったら食っていい、と躊躇う篠塚を促した。こちらとしては、量を減らしてくれた方がありがたい。何なら全部食べてくれても構わない。当然、金は俺が払う。
差し出されたガトーショコラを前に篠塚は一瞬迷う素振りを見せるも、食べてみたい気持ちはあるらしく、手元のイチゴパフェから気が逸れていた。
篠塚がスプーンをイチゴパフェの近くに置いた。急に食欲がなくなってしまったのだろうかと思ったが、まとめられた食器に手を伸ばして、未使用のそれを取ろうとしただけだった。その行動に気づいた紘が、なぜか食い気味に止めに入る。
どうにかして味を感じようと篠塚のことすら脳内で利用しながら真顔で奮闘していると、横から紘のフォークが伸びてきた。ガトーショコラを狙っている。まだ許可を下してはいないが、それは遅いか早いかの問題で。俺は返事の代わりに皿を紘の方へ僅かに押しやった。
フォークを持つ俺の左手が重たい理由を、紘は知っている。自分が食べたいだけなのかもしれないが、彼なりに完食の手助けをしようとしてくれているのだろうと良いように捉えた。
「濃厚だな、美味い。篠塚も食ってみる?」
我が物顔で篠塚にも食べさせようとする紘は、俺から引き継ぐように、端の方が欠けたガトーショコラの載った皿を篠塚の方へ移動させた。
イチゴパフェを静かに食していた篠塚は、動きを止め、窺うように俺に目を向けた。紘みたいに図々しくはない篠塚は、しっかり許可をもらおうとしている。真面目な人だ。ちゃらんぽらんな紘がいるせいか、それがより一層際立っているように見えた。
遠慮しなくてもいいのに、という意味を込めて、食いたかったら食っていい、と躊躇う篠塚を促した。こちらとしては、量を減らしてくれた方がありがたい。何なら全部食べてくれても構わない。当然、金は俺が払う。
差し出されたガトーショコラを前に篠塚は一瞬迷う素振りを見せるも、食べてみたい気持ちはあるらしく、手元のイチゴパフェから気が逸れていた。
篠塚がスプーンをイチゴパフェの近くに置いた。急に食欲がなくなってしまったのだろうかと思ったが、まとめられた食器に手を伸ばして、未使用のそれを取ろうとしただけだった。その行動に気づいた紘が、なぜか食い気味に止めに入る。



