そのような狡猾なフォークは、芽生える欲求に飲まれることなく、寧ろそれを克服し、自分をコントロールすることができるタイプであるとされている。至って冷静なのだ。冷静に罪を犯しているのだ。周りがよく見えている状態で、目を背けたくなるような凄惨な事件を起こしているのだ。
同じ犯罪者のフォークであっても、危険度のレベルが桁違いだ。前者はまだ情状酌量の余地が多少はあるだろうが、後者は非常に悪質で、そのような余地など一切ないだろう。とてもじゃないが、フォークだからで済ませられるような問題ではなかった。
ニュースで大々的に取り上げられた、ある胸糞な事件があった。一家殺害事件だ。その犯人は今も捕まっておらず、誰かすらも分かっていないが、フォークの犯行であることは明らかとなっている。ケーキの人間を喰った痕が残っていたらしい。ケーキを食べることが目的なら、それも十分問題ではあるが、わざわさ家族全員を殺す必要などないだろうに。同じフォークとなってしまったものの、その殺人鬼の思考は露ほども理解できなかった。
俺は絶対に、ケーキの人間を襲ったり喰い殺したりしない。どんな理由でフォークになったのか判明したとしても、その原因となった人物だったり事柄だったりを恨んだり憎んだりもしない。俺は決して、犯罪には手を染めない。
俺は、ただ少し、ほんの少し、味覚を司る機能が故障してしまっただけの普通の人間だ。ケーキの人間を前にしても、俺は俺でいられる。そのはず。クラスメートに一人、気になる人はいるが、ずっと我慢できている。だから、大丈夫。
「……紘は、誰がケーキなのか分かる?」
「残念ながら、俺には全然分かんねぇよ」
「そっか」
「そういうのはさ、瞬の方が分かるっしょ」
同じ犯罪者のフォークであっても、危険度のレベルが桁違いだ。前者はまだ情状酌量の余地が多少はあるだろうが、後者は非常に悪質で、そのような余地など一切ないだろう。とてもじゃないが、フォークだからで済ませられるような問題ではなかった。
ニュースで大々的に取り上げられた、ある胸糞な事件があった。一家殺害事件だ。その犯人は今も捕まっておらず、誰かすらも分かっていないが、フォークの犯行であることは明らかとなっている。ケーキの人間を喰った痕が残っていたらしい。ケーキを食べることが目的なら、それも十分問題ではあるが、わざわさ家族全員を殺す必要などないだろうに。同じフォークとなってしまったものの、その殺人鬼の思考は露ほども理解できなかった。
俺は絶対に、ケーキの人間を襲ったり喰い殺したりしない。どんな理由でフォークになったのか判明したとしても、その原因となった人物だったり事柄だったりを恨んだり憎んだりもしない。俺は決して、犯罪には手を染めない。
俺は、ただ少し、ほんの少し、味覚を司る機能が故障してしまっただけの普通の人間だ。ケーキの人間を前にしても、俺は俺でいられる。そのはず。クラスメートに一人、気になる人はいるが、ずっと我慢できている。だから、大丈夫。
「……紘は、誰がケーキなのか分かる?」
「残念ながら、俺には全然分かんねぇよ」
「そっか」
「そういうのはさ、瞬の方が分かるっしょ」



