甘美な果実

 大きく分けて二種類のタイプがいるフォークの内、自分が、世間から忌避され、罵倒される側のフォークであることを告白した後は、秘密と、自分の欲求、言うなれば、フォークとしての欲求を打ち明けたことで熱くなる心臓を抱えながら、黙って紘の反応を待った。身体に力が入っていた。それを抜こうとしたが、上手くできなかった。

 いつまでも俯いたまま、紘の呼吸音にすら耳をそばだてる。大きく荒れてはおらず、感情的にはなっていないであろうことが窺えた。

 聞こえていたその息遣いが、刹那、言葉という名の音に変化する。瞬、と名前を呼ばれ、顔、上げろ、とあまり間を置かずに、静かな口調で指示された。彼の呼吸は落ち着いている。それでも俺は、下を向いたままだった。紘を見ることができなかった。どんな顔をすればいいのか分からなかった。俺の数少ない表情のレパートリーの中からは、正解を見つけられなかった。

 瞬、と再び、今度は諭されるように、呼ばれる。紘が俺の前に屈むのを、空気の揺れで察知した。今、顔を上げれば、紘と目線が合う。彼の視線を強く感じる。彼の視線が突き刺さる。俺をじっと見ているであろう彼が、息を吸う。

「病院に行け。薬を貰え。フォーク用の加工食品を買え。それを食べろ。これが一般的な、擦られ続けた助言だな」

 でも俺は、そんなことは言わない。そんな、誰にでも言えるようなことは、言わない。紘は変わらず強気な口調で、下手に慰めることなくそう言い、唐突に俺の両肩を掴んできた。反射的に顔を上げてしまうよりも先に、壁に、否、扉に、背中を押し付けられる。反動で後頭部を打った。僅かに鈍い痛みが走った。一瞬、何が起こったのか、何をされたのか、理解が遅れた。