「……俺が瞬を探す前、篠塚がさ、渕野くんのこと怒らせたかも、ってこの世の終わりみたいな顔してなぜか謝ってきてさ。何があったのか詳しく聞いてみたんだよ。……瞬、篠塚のこと拒絶したみたいだな」
「……うん」
「いい迷惑かもしれないけど、篠塚には言っといたから。気にしなくていいって。本気でそう思ってるわけじゃないって。でも今はそっとしといてあげてって。勿論、瞬が隠してることは言ってないから安心してな」
「……ありがとう」
感謝が、自然と口から零れ落ちた。篠塚には悪いことをしてしまった自覚があったため、偶然ではあるが、紘が上手くフォローしてくれたことがとてもありがたかった。
トイレでの出来事に関しては、紘の言う通り、篠塚は何も気に病む必要はない。俺のことも気にしなくていい。避けてくれればいい。興醒めしてくれればいい。
篠塚はケーキだ。俺が血肉を求めるフォークである以上、それが明らかとなってしまった以上、彼とは関わらないようにするのが一番だ。何かの反動で自制できなくなったら笑えない。予期せぬ事態が起こっても、常に冷静でいられるとは限らない。俺は誰にも、我を忘れて噛みつきたくはない。
紘に見つからないように下唇を噛んだ。腹が鳴りそうだった。篠塚のことを考えると、いや、考えるだけで、唾液が溢れてくるようだった。
今日初めて、俺はケーキの味を知った。篠塚に掴まれた腕を舐めたことでその美味しさを感じたものの、たったそれだけで、フォークになってから今日まで、数ヶ月かけて無自覚に掘ってきた穴など埋められなかった。埋められるはずもなかった。俺は全く、満足できていない。
「昼休みもうすぐ終わるけど、瞬がそのままにしてきた弁当どうすんの? いらないなら食っていい? 残ったもの捨てるつもりなら、そんなのもったいないから俺が食うよ」
「……うん」
「いい迷惑かもしれないけど、篠塚には言っといたから。気にしなくていいって。本気でそう思ってるわけじゃないって。でも今はそっとしといてあげてって。勿論、瞬が隠してることは言ってないから安心してな」
「……ありがとう」
感謝が、自然と口から零れ落ちた。篠塚には悪いことをしてしまった自覚があったため、偶然ではあるが、紘が上手くフォローしてくれたことがとてもありがたかった。
トイレでの出来事に関しては、紘の言う通り、篠塚は何も気に病む必要はない。俺のことも気にしなくていい。避けてくれればいい。興醒めしてくれればいい。
篠塚はケーキだ。俺が血肉を求めるフォークである以上、それが明らかとなってしまった以上、彼とは関わらないようにするのが一番だ。何かの反動で自制できなくなったら笑えない。予期せぬ事態が起こっても、常に冷静でいられるとは限らない。俺は誰にも、我を忘れて噛みつきたくはない。
紘に見つからないように下唇を噛んだ。腹が鳴りそうだった。篠塚のことを考えると、いや、考えるだけで、唾液が溢れてくるようだった。
今日初めて、俺はケーキの味を知った。篠塚に掴まれた腕を舐めたことでその美味しさを感じたものの、たったそれだけで、フォークになってから今日まで、数ヶ月かけて無自覚に掘ってきた穴など埋められなかった。埋められるはずもなかった。俺は全く、満足できていない。
「昼休みもうすぐ終わるけど、瞬がそのままにしてきた弁当どうすんの? いらないなら食っていい? 残ったもの捨てるつもりなら、そんなのもったいないから俺が食うよ」



