取るに足らない雑談。紘に引き出されるように言葉を吐き、音を出す自分。俺を心配してくれていながらも、何も変わらない紘に気が抜けそうになる。
紘がケーキではなくて良かった。もし紘がそうだったら、俺は彼とも距離を取らざるを得なくなっていただろう。気を張らずに喋ることのできる相手など、俺には紘しかいないも同然のため、そのような理由で彼を手放すのはかなりの痛手だった。だからこそ、紘が普通の人で良かったと思う。
俺は紘を信頼している。俺がフォークになってしまったことを知っても尚、紘は変わらず俺の友人でいてくれるのだ。関わりたくない、どうでもいいと思っているのなら、わざわざ探しに来るはずがない。
いつもより言葉数は少ないが、沈黙が広がっても気まずそうではない紘を眺める。良い意味で能天気で適当な紘になら、俺がどういう類のフォークなのか告白しても、重くはならないのではないか。
胸に蟠る不安や不満を誰かに話す。その行動で精神的に楽になるというのなら、話を聞いてもらう相手は紘が適任だ。彼以外には話せない。本音も、弱音も。
「……ひろ」
「そういえば」
「あ……、うん」
「……ごめん、今なんか言いかけた?」
「いや、何も。続けて」
紘に先を促し、吐露しようとしていた言葉を飲み込む。別に今じゃなくてもいいことだ。いつでもいいことだ。それが一つの隠し事になろうとも、今すぐ明かす必要はない。話の流れを見て、タイミングを見計らって告白した方が突拍子にはならない。急がなくていい。
唇を引き結んで座り直し、屋上へと続く扉に背中を預ける。立つことは諦めた。舐めた腕は既に乾いていた。が、自分の唾液がまだ残っているような感覚がして、後で洗いに行こうと脈絡もなく思った。これに関しては、紘にも言えないことだった。俺しか知らないことで、文字通り、俺しか知らなくていいことだった。
紘がケーキではなくて良かった。もし紘がそうだったら、俺は彼とも距離を取らざるを得なくなっていただろう。気を張らずに喋ることのできる相手など、俺には紘しかいないも同然のため、そのような理由で彼を手放すのはかなりの痛手だった。だからこそ、紘が普通の人で良かったと思う。
俺は紘を信頼している。俺がフォークになってしまったことを知っても尚、紘は変わらず俺の友人でいてくれるのだ。関わりたくない、どうでもいいと思っているのなら、わざわざ探しに来るはずがない。
いつもより言葉数は少ないが、沈黙が広がっても気まずそうではない紘を眺める。良い意味で能天気で適当な紘になら、俺がどういう類のフォークなのか告白しても、重くはならないのではないか。
胸に蟠る不安や不満を誰かに話す。その行動で精神的に楽になるというのなら、話を聞いてもらう相手は紘が適任だ。彼以外には話せない。本音も、弱音も。
「……ひろ」
「そういえば」
「あ……、うん」
「……ごめん、今なんか言いかけた?」
「いや、何も。続けて」
紘に先を促し、吐露しようとしていた言葉を飲み込む。別に今じゃなくてもいいことだ。いつでもいいことだ。それが一つの隠し事になろうとも、今すぐ明かす必要はない。話の流れを見て、タイミングを見計らって告白した方が突拍子にはならない。急がなくていい。
唇を引き結んで座り直し、屋上へと続く扉に背中を預ける。立つことは諦めた。舐めた腕は既に乾いていた。が、自分の唾液がまだ残っているような感覚がして、後で洗いに行こうと脈絡もなく思った。これに関しては、紘にも言えないことだった。俺しか知らないことで、文字通り、俺しか知らなくていいことだった。



