腕を顔に近づけた。呼吸が妙に熱かった。傷のついた舌を差し出した。唾液が口端から垂れそうだった。口は閉じなかった。唾は飲み込まなかった。濡れた舌先が腕に触れた。篠塚が掴んできた箇所を舐めた。瞬間、衝撃が走った。信じられなかった。それは、無我夢中になりそうなほどに、甘かった。甘すぎた。全身が歓喜に包まれた。その味を知らなかったとしても、身体はずっと渇望していたものだった。ケーキを間接的に舐めているだけなのに、久しぶりに感じた味だった。これが、ケーキ。これが、篠塚の味。
ケーキの味がしなくなるまで、俺は自分の腕を舐め続けた。プライドがどうとか、体裁がどうとか、今この時だけは眼中になかった。やめられない。舐めることを、やめられない。篠塚が触れただけに過ぎないのに、それなのに、あまりにも美味しくて。だからこそ、足りなくて。ああ、本物は、本体は、どれほど高級なのだろう。喰いたい。噛みつきたい。
篠塚、と彼を思い浮かべてしまいながらも、そして、彼を食べる自分を空想してしまいながらも、俺は自分の腕を舐めることでその味を堪能し、空想を空想で終わらせた。もっと欲しくても、もっと貪りたくても、本人がいない以上できない。否、本人がいたらできない。してはいけない。これで、堪え忍ぶしか道はない。
夢中になって皮膚に舌を這わせていれば、当然ではあるだろうが、次第に味がしなくなっていった。どこを舐めても無味になり、夢から覚めるような思いがした。
やおら唇を離した。濡れて湿った肌を見た。唾液でべとべとしていた。てらてらしていた。直接ではないにしても、俺は篠塚を、貪り尽くしてしまったようだった。
舐めて、舐めて、舐めて、味わう。それは、普段の自分からは考えられないくらいの奇行だった。醜悪な姿だった。
ケーキの味がしなくなるまで、俺は自分の腕を舐め続けた。プライドがどうとか、体裁がどうとか、今この時だけは眼中になかった。やめられない。舐めることを、やめられない。篠塚が触れただけに過ぎないのに、それなのに、あまりにも美味しくて。だからこそ、足りなくて。ああ、本物は、本体は、どれほど高級なのだろう。喰いたい。噛みつきたい。
篠塚、と彼を思い浮かべてしまいながらも、そして、彼を食べる自分を空想してしまいながらも、俺は自分の腕を舐めることでその味を堪能し、空想を空想で終わらせた。もっと欲しくても、もっと貪りたくても、本人がいない以上できない。否、本人がいたらできない。してはいけない。これで、堪え忍ぶしか道はない。
夢中になって皮膚に舌を這わせていれば、当然ではあるだろうが、次第に味がしなくなっていった。どこを舐めても無味になり、夢から覚めるような思いがした。
やおら唇を離した。濡れて湿った肌を見た。唾液でべとべとしていた。てらてらしていた。直接ではないにしても、俺は篠塚を、貪り尽くしてしまったようだった。
舐めて、舐めて、舐めて、味わう。それは、普段の自分からは考えられないくらいの奇行だった。醜悪な姿だった。



