服用するのにいちいち両親の許可などは不要だが、両親のいるリビングではあまり飲みたくはない。食欲に支配されそうになっている様を見られたくはないという、そんなしょうもない、なけなしのプライドが、俺の腰を重たくさせていた。
気休めのように飴を噛み砕いてばかりで、何もする気が起きない。一気に伸し掛かってきた問題は山積みとなっているのに、何一つ処理ができていない。何もできないまま夜になっている。どこから手をつければいいのだろう。自分のこと。篠塚のこと。紘のこと。優先順位が定まらず、それらがぐるぐると回っていた。俺の頭の中を、ぐるぐると。回っていた。ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。次第に吐き気を覚えた。激しい動悸がした。それが、地獄へ向かう、地獄が訪れる、合図かのようだった。
家のインターホンが、鳴り響く。その瞬間、なぜか、漠然とした不安に襲われた。音が狂っているわけではない。恐怖を煽るようなそれではない。おかしいところは何もない。夜の訪問者は、回数は少ないが、時々、いる。全くいないわけではない。それなのに、不吉な予感がした。
嘔吐感を堪えるように、生唾を飲み込んだ。緊張か、恐怖か。違う。どちらも、違う。この世のものではないような、得体の知れない何かが、どろどろと迫っているのを感じる。胸が痛くなるほどの動悸に、呼吸が乱れた。冷たく嫌な汗が、背中を伝った。
階下で人が床を踏む微かな足音がする。母親のものだろうか。少し急ぎ足だった。待たせてはいけないという気持ちの表れのようで。あまり警戒心は感じられなかった。両親の、母親の、知っている人なのだろうか。誰かと約束でもしていたのだろうか。それならば、俺のこの予感は何なのか。一体、何なのか。
確かめようと思った。この目で見て、感じて、確認しようと思った。その正体を。胸に迫り来る何かを。知ろうと思った。悪い予感が脳に危険信号を出していても、俺はその理由を知ろうと思った。
気休めのように飴を噛み砕いてばかりで、何もする気が起きない。一気に伸し掛かってきた問題は山積みとなっているのに、何一つ処理ができていない。何もできないまま夜になっている。どこから手をつければいいのだろう。自分のこと。篠塚のこと。紘のこと。優先順位が定まらず、それらがぐるぐると回っていた。俺の頭の中を、ぐるぐると。回っていた。ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐるぐるぐる。次第に吐き気を覚えた。激しい動悸がした。それが、地獄へ向かう、地獄が訪れる、合図かのようだった。
家のインターホンが、鳴り響く。その瞬間、なぜか、漠然とした不安に襲われた。音が狂っているわけではない。恐怖を煽るようなそれではない。おかしいところは何もない。夜の訪問者は、回数は少ないが、時々、いる。全くいないわけではない。それなのに、不吉な予感がした。
嘔吐感を堪えるように、生唾を飲み込んだ。緊張か、恐怖か。違う。どちらも、違う。この世のものではないような、得体の知れない何かが、どろどろと迫っているのを感じる。胸が痛くなるほどの動悸に、呼吸が乱れた。冷たく嫌な汗が、背中を伝った。
階下で人が床を踏む微かな足音がする。母親のものだろうか。少し急ぎ足だった。待たせてはいけないという気持ちの表れのようで。あまり警戒心は感じられなかった。両親の、母親の、知っている人なのだろうか。誰かと約束でもしていたのだろうか。それならば、俺のこの予感は何なのか。一体、何なのか。
確かめようと思った。この目で見て、感じて、確認しようと思った。その正体を。胸に迫り来る何かを。知ろうと思った。悪い予感が脳に危険信号を出していても、俺はその理由を知ろうと思った。



