制服に血が染みている。襟がそれを吸収し、徐々に面積を広げている。首筋の流血は止まっていない。俺は止血も何もしようとせずに、血を眺めて、血を舐めて、その口で喉笛に噛みついた。呻く篠塚の声が消える。気管を絞めてしまっているのかもしれない。それでも、意に介さなかった。食欲を我慢することはできなかった。死んでもいい。殺してもいい。喰えればそれでいい。
破綻した倫理観。欠如した罪悪感。自分が何者かに染まってしまいそうで。視界が暗く翳っていくのを実感した。どうでもいい。もう、どうでもいい。ケーキが死のうが、篠塚が死のうが、もう。どうでもよかった。もっと俺は、喰いたい、だけだ。喰ったら、死んだ、だけだ。これは、俺の食糧だ。
首筋と同じように、喉笛さえ噛み千切ろうと更に顎に力を込めた時、何かがぶつかるような激しい音が響き渡った。目の前が真っ暗闇に包まれそうになる中で、一筋の光がちらつくのを目にする。あれは何だ、と意識がそちらへ向くや否や、誰かの焦ったような怒鳴り声が乱入した。
「おい、瞬、篠塚、何してんだよこの馬鹿」
暴言と共に荒々しく篠塚から剥がされる。眩いほどの光が拡大しきった後で、俺は導かれるように現実に引き戻された。焦っている。怒っている。そのどちらの感情も含んでいる表情をした紘が、俺の両肩を強く掴んで、しっかりしろ、と正気を呼び戻すように声を荒らげている。紘、と呟いたつもりだったが、俺の口からは何の音も聞こえなかった。息が漏れるだけで、声が出なかった。篠塚の血液が、あまりにも甘かった。
ベッドの上ではなく、床に崩れ落ちている篠塚は、喉と胸を押さえて激しく咳き込んでいた。首を中心に肌や服を血で汚しながら息をしようと喘いでいる必死なその姿に、俺は無意識のうちに舌舐めずりをしてしまう。食欲を感じてはいるが、それとは少し違う、この胸を熱くさせる高揚感すら覚えていて。それに名前をつけるのならば、嗜虐心、だろうか。
破綻した倫理観。欠如した罪悪感。自分が何者かに染まってしまいそうで。視界が暗く翳っていくのを実感した。どうでもいい。もう、どうでもいい。ケーキが死のうが、篠塚が死のうが、もう。どうでもよかった。もっと俺は、喰いたい、だけだ。喰ったら、死んだ、だけだ。これは、俺の食糧だ。
首筋と同じように、喉笛さえ噛み千切ろうと更に顎に力を込めた時、何かがぶつかるような激しい音が響き渡った。目の前が真っ暗闇に包まれそうになる中で、一筋の光がちらつくのを目にする。あれは何だ、と意識がそちらへ向くや否や、誰かの焦ったような怒鳴り声が乱入した。
「おい、瞬、篠塚、何してんだよこの馬鹿」
暴言と共に荒々しく篠塚から剥がされる。眩いほどの光が拡大しきった後で、俺は導かれるように現実に引き戻された。焦っている。怒っている。そのどちらの感情も含んでいる表情をした紘が、俺の両肩を強く掴んで、しっかりしろ、と正気を呼び戻すように声を荒らげている。紘、と呟いたつもりだったが、俺の口からは何の音も聞こえなかった。息が漏れるだけで、声が出なかった。篠塚の血液が、あまりにも甘かった。
ベッドの上ではなく、床に崩れ落ちている篠塚は、喉と胸を押さえて激しく咳き込んでいた。首を中心に肌や服を血で汚しながら息をしようと喘いでいる必死なその姿に、俺は無意識のうちに舌舐めずりをしてしまう。食欲を感じてはいるが、それとは少し違う、この胸を熱くさせる高揚感すら覚えていて。それに名前をつけるのならば、嗜虐心、だろうか。



