でも、ちゃんと言えたよね? 私、少しは変われてるよね? 涙を流しながら、総季家を見る。 大きなお屋敷はちっぽけな私を今にも呑み込まんとする勢いだ。 この中には、私にとっていい思い出はない。 きっと、これからもそうだろう。 でも……負けない。 私にも守りたい人が出来たから―― 「凌生くん、私……がんばるからね」 もう戻れないB地区の方角を見る。 そして、目を瞑った後―― 総季家のお屋敷へと、ゆっくり足を踏み入れた。 ㅤ𓈊⚜