立ち上がって歩き出した彗くんの後ろをついてコツコツと下駄を鳴らしながら歩いた。
彗くんも取った水ヨーヨーを手に、ダムダムと弾かせていた。

「紫衣ちゃん何か食べたいのある?オレはねぇ、焼きそばでしょ、チョコバナナでしょ、あとは~からあげ!」

「……。」

「紫衣ちゃんは何が好き?リンゴ飴もあっ」

「彗くん…」

彗くんの甚平の裾をきゅっと握った。

「紫衣ちゃん…?」

立ち止まった彗くんが振り返る。

ザワザワと人が賑わう中で俯いちゃった。

「どうしたの?どこか痛い?」

小さく深呼吸して、顔を上げた。

「あのねっ、私…彗くんのこと好き!」

私に何ができるのかなって考えて伝えようとしてみたんだけど、唐突すぎる私の告白に彗くんがこれ以上ないってくらい顔を赤くした。

「え…あ、あーーーーっ」

そんな顔見たら私だってつられて赤くなっちゃって、夏祭りの中心で何してんだみたいになっちゃった。

「いや、違うの!そうじゃないの!」

「えっ、違うの!?」

「あ、違わないんだけど!あってるんだけど!?」

めちゃくちゃテンパっちゃった恥ずかしい… 

歩いていく人たちはみんなお祭りに夢中でたぶん気にも留めてないけど、何言ってるんだろうって思ったら恥ずかしくてただ彗くんを困惑させちゃった。また下を向いちゃった。