「彗くんの顔して彗くんのフリしないでよ!」

「俺は彗だけど、柏木彗」

「彗くんじゃないでしょ!」

そんなふてぶてしい態度彗くんはしないんだから!しかももう自分の着けちゃったのハチマキ!

「じゃ」

「あ、ちょっと!あの~…ケイっ!」

ふいっとどこかに行こうとするからつい呼んじゃった。

頭の中で考えてたことが口に出ちゃった。

一応は立ち止まってくれたけど、不審そうな目で見られた。

不審に見るのはおかしい!

「か、考えたの!なんて呼んだらいいのかなって、だって彗くんだけど彗くんじゃないしみんながいる前ではしょーがないけど…」

私だけが知ってるなら私だけの呼び方があってもいいんじゃないのかなって。

「彗くんの名前は“すい”も読めるけど“ケイ”も読めるよね?」

「……。」

「だからケイね、名前!」

「…なんでもいいけどよ」

半ば無理矢理押し付けたみたいだったけど、これで名前を呼ぶ時困らないもんね。ほんとにどーでもいいのか興味なさげに返事されたけど。

「これ!私のハチマキ!交換、なんだからいるでしょ」

一度頭に着けたハチマキを外してケイに渡した。交換するって約束だから彗くんが私の着けてないと成立しないもん。

「じゃあ私係の仕事して来るから!」