「あっぶね~…!」

連れられるがまま走って来ちゃって、体力のない私はその場にしゃがみ込んでぜぇはぁと体を上下に揺らしながら息をした。

まだドキドキしてるけど、これは絶対激しく運動した時のドキドキだ。

「あ、紫衣ちゃん!ごめん、大丈夫!?」

「う、うん…平気」

「ごめん、急に走っちゃって!」

すぅーっと大きく息を吸ってふぅーっとゆっくり息を吐いた。

よし、もう大丈夫!

すくっと立ち上がって、彗くんの方を見る。

「もういいよ」

「よかったー!」

にこーっと笑う彗くんにドキッて心臓が音を出して、私まで笑みがこぼれちゃう。

だけど気付いたら離されていた手は離さないでほしかったな。

「ねぇーねぇー走って来たからもうそこだよ、クレープ!」

「ほんとだ!」

「買お!紫衣ちゃんもう決めて来たんでしょ?」

どんだけ走って来たんだって思ったけど、もう目の前にはお目当てのクレープ屋さんがあった。

さすが駅前のクレープ屋さん、ちょっと混んでた。

「並ぼっか!」

「うん!」

彗くんの後ろをついて列の最後に並んだ。
前に並んでるのは5人かぁ、まだちょっとかかるかなぁ。

「彗くんはクレープ何にするの?さっき見てたプリン??」

「ん~そうしよっかな~、あとなんかあったけぇ?」

ズボンのポケットに手を突っ込んでごそごそとスマホを出そうとした。もう一度メニューを見ようと思ったんだと思う。