パブリックダーリン~私と彼と彼氏~

「わっ」

投げつけられるように手を離されベッドに体をぶつけるみたいに倒れ込んだ。

痛…くはなかったけど、すごい力で私1人持ち上げるのなんてどうってことないんだと思った。

「………っ」

体を起こして視線を向ける。

だけど足を組み直して座り、こっちのことなんかもう見てもなかった。

…もう帰ろ、だいたいは教えてもらえたしもうここにいる方がよくない気がして来た。

全部が全部飲み込めたわけじゃないけど、今日はもう帰る。

ベッドの隅に置いてあったポシェットを手に取って床に足を付ける。

「帰る、いろいろ教えてくれてありがと」

「……。」

だけど、最後にもう1つ聞いておきたくて。

「あの…」

ドアノブに手をかけて背を向けたまま聞いた。

「どうしてあなたは存在してるの?」

どうして彗くんの中にいるのか知りたくて。

彗くんの中にいる意味を、彗くんも知らないのにどうして…


でも聞かなきゃよかった。

最初から理解できないことばっかだったんだ、聞かない方がまだマシだったよ。


「…別に、暇だから」


思わずスイッチが入ったみたいに頭にカチンッと来ちゃって、勢いよく振り返ると同時に怒鳴っちゃった。

「そんな理由で!?そんなことで彗くんの身体を利用してるの!?」

「利用とかそんなんじゃねぇよ」

「利用してるじゃん!自分が楽しみたいからって彗くんの身体使ってるんでしょ!?」

「つーか大声出すなっつったよなァ」

ギロリと睨まれる、そうやって抑制して来るのはずるい…けどその視線にピクッと震えて声が詰まっちゃうから。