パブリックダーリン~私と彼と彼氏~

「実は弟が浮気してたんだって!」

「二股掛けられてて悩んでたのを柏木先輩が救ってあげたらしいよ」

「えーっ、それで相談してるうちに…!?みたいなあれかな」

「だって柏木先輩だもんね…」



「「「「「誰だって付き合いたいよね」」」」」



人の噂も七十五日(しちじゅうごにち)…だっけ、なんだっけ?
意味はテキトーに日が過ぎればみんな興味なくなって忘れるみたいなことだったよね?

やーっと私のあれこれな噂が通り過ぎ始めたかと思えばまた新たな噂が流れ始めた。


「紫衣、柏木先輩と付き合ってるの?」

「付き合ってない!!!」


ギュッと持っていた紙パックのフルーツ・オレを握り潰したら、空だと思ってたのにちょっとだけ残ってたみたいでピュッと飛び出た。

「付き合ってない!付き合ってるわけない!ありえないっ!!!」

「うん、そこまで言わなくてもわかってるよ。ごめん、ちょっとイジりたくなった」

教室の前の黒板を使う時の台をイス代わりにして美月と並んでこそこそとお弁当を食べる、なんでこそこそかと言えばこの噂のせいで私は注目の的だったから。


「どれ?柏木の彼女って?」

「あー…あれじゃない?あのレベルならまぁ柏木と釣り合わなくもないじゃん?腹立つけど」

「まぁ、まぁギリね。腹立つけどね」


放課のたびに上級生が見に来るからこうして身を隠すしかないんだよ…!


そしてごめんねクラス一の美人さんの鈴木さん、私が凡人なばっかりに変な言いがかりつけられちゃってっ。

「彗くんがそんなことするわけなくない!?二股とか、ないよ!あるわけない!!」

あるわけないんだ、そんなこと。


だって彗くんはまだ“帰って来てない”んだもん。