監獄学園に来てたった3ヶ月。

 それなのにちょうばつ房の常連となりつつある、ろくでもない受刑者が108番という男。

 だけど…。


 借りは借り、と作業中の108番を盗み見る。

 醜態(しゅうたい)をさらしたあの日から、2週間後の火曜日。




「先生、銀ペンが出なくなりました」


「わかった、すこし待っていろ」




 Verbrechen(フェアブレッヒェン)の申し出を聞いて、他のGebot(ゲボート)生が対処にあたるのを横目に、108番へと視線をもどす。

 108番も道具の調子がおかしいとかあれば、私がすぐ対処して借りを返すのに。

 じーっと見ても、彼はたんたんと穴あけ作業をしているだけ。


 そう都合よく問題は起こらないらしい。

 はぁ、と私はこっそりため息をついた。