『お言葉ですが!受刑者は法によって人権が認められています。そのようなまちがった考え方を、この学園に取り入れることはできません』




 あのオヤジにちょっくらいたずらをしてやろうと、気配を消してあとをつけていたときに聞いた言葉。




藤枝(ふじえだ)


Verbrechen(フェアブレッヒェン)の締め付けが甘いのは認めます、そこに関しては改善しましょう。ですが、あなたのようなやり方は教育現場に必要ありません!』


『なんだと?』




 立場が上のもんにも、正面から突っかかっていくあの度胸はわるくなかった。




『ひかえろ、藤枝』


『ですが、先輩…!』




 きらいな男のなかで、唯一気を許してるらしいあのお坊ちゃんにたしなめられても、不満げ。

 よほどあのオヤジが気に食わなかったんだろうな。

 あとからやり返す方法なんていくらでもあるのに、ド直球に文句を言うまっすぐなところはきらいじゃない。