生徒会室に着くと、私は扉を開けて財前(ざいぜん)先輩に報告をした。




「お疲れさまです。108番は独居房に収容しました」


「あぁ、ご苦労。これで落ちついたな」




 奥の会長席に座っていた財前先輩は、目を伏せて立ち上がる。

 私は生徒会室の奥へ歩いていって、「そうですね」と答えた。




「あらためて、108番を連れもどした功績、見事だった」


「いえ、私が連れもどしたわけではないんですが…」




 勝手にもどってきただけだし。

 目をそらすと、財前先輩はこつ、と私に近づいた。




「しかし、藤枝(ふじえだ)でなければ成しえなかったことだろう。108番はあのまま姿をかくし続けることもできた」


「…そう、ですね」


「それに、ともに脱獄したVerbrechen(フェアブレッヒェン)の居場所を我々に教えることもなかった。108番にとってなんのメリットもないおこないだからな」