ドキッとして、赤面しながら耳を押さえる。

 こんなところでなんてことを言うの…!


 雷牙をにらむと、彼の口角はこの状況を楽しむように上がった。

 吹きこまれた言葉のよいんで、はやい鼓動を刻んでいる胸を押さえながら、私は文句を言おうと思ったのだけど…。

 雷牙越しに、財前先輩と目が合って、パッと目をそらす。




「あとで相手してあげるから、いまはじゃましないで…!」


「…ふぅん?」




 ちいさな声で伝えると、楽しそうな声が返ってきた。


 それから、私は雷牙を無視することに決めて、なんとか授業に意識を持っていき…。

 40分、1時間ぶんの授業をぶじにやりとげる。

 私が担当したVerbrechen(フェアブレッヒェン)の3年生が反抗的だったから、指導に熱が入ったのもプラスにはたらいたかな。