黒峰くん、独占禁止。

 そう分かっていたつもりだったのに……改めて聞くと、心臓が痛いや。

 その痛みをなんとか誤魔化す為、胸元に手を添える。

 心臓はすっごく早く動いていて、緊張する事でもないはずなのに体温が上がっていくのを感じた。

「ある時、真冬の仕事が立て込んでいると言われた事があって……別れを切り出した。真冬は人気なモデルで、俺がいたら邪魔になるんじゃないかと思ったんだ。」

 綺麗できめ細かい黒峰君の肌に、長い睫毛の影が落ちる。

 黒峰君……私と、なんか似てる。ふとそう思った。

 全部一緒なんて言わないけど、邪魔になるって思っちゃうところは……似てるかもしれないって。

「それでも別れた時、未練は微塵もなかった。俺は真冬に告られて付き合っていただけで、抱きしめる事もキスにも愛は感じていなかった。」

「……っ、黒峰く――」

「だが今は違う。俺は春宮が好きで、好きだからこそ付き合いたいと思っている。この気持ちに嘘はない。真冬との関係だって、話し合って切ったはずなんだ。」

 黒峰君は、抱きしめるのが好きらしい。キス魔に追加で抱きしめ魔だ。