白いハチマキを頭に巻いて、両手でメガネの位置を調整する。
髪はじゃまにならないように、下のほうでひとつ結び。
手首のすそをすこし下にひっぱってみたのは、風が肌寒かったから。
そんなようすで始まった体育祭は、なかなかの盛り上がりを見せていた。
野いちご学園の競技は変わっているものが多いんだけど、次はお題がむずかしいとうわさの借り物競争。
出番じゃない私は、1年E組の待機場所に座って、参加者の列に紫色の頭があるのを見つけていた。
「きゃっ、環先輩だ!借り物競争出るんだ~」
うちのクラスでいちばんかわいくて、男子にもモテモテの女の子、前澤楼音さんが興奮したように言う。
今日も今日とて、ハーフツインテールにしたミルクティー色の髪がふわふわとゆれていた。
前澤さんも気づいたんだ。