【短】きみがいないと、糖分不足。



「…えっ」


「ずっと俺のそばにいること。いーい?」


「は、はい…っ」




 鼻がくっつきそうな距離で、じっと見つめられて思わずうなずいた。


 …えっ。

 っていうか、いま…!




「ん。そうやって赤くなってればいーの。希色にキスできるのは、俺だけなんだからね」


「きっ…!?」




 キス…っ!?




「ふわ~ぁ…まだ寝足りないや…」




 とろんとした瞳をまぶたの下にしまった環先輩は、ぼすっと私のひざに頭をもどして。

「すぅ…すぅ…」とまた眠り始めた。


 わっ…わ、わたしっ…!

 環先輩と…っ!

 キス、しちゃった…!!


 ぼんっと、火が出そうなほど熱くなった顔を両手でおおって、私はしばらくひとが来ませんように、と祈った。


 …お願いです、神様。

 本当にいまだけは、図書室にひとを近づけないでください…っ!




 [終]