【短】きみがいないと、糖分不足。



 暖房が効いてるし。


 環先輩の目はあっという間にとろんとしていって、大きく開いた口からはいつものようにあくびがもれた。


 もしかして、寝顔を見れる…!?

 期待でドキドキッと、鼓動がはやくなる。




「ねぇ、きみさ…ん、名前なんだっけ?」


杉原(すぎはら)希色(きいろ)です…」


「そうそう、杉原。…あ、俺も名前でいっか。希色、体育祭終わったあたりから図書室来てないよね?」


「えっ」




 名前で呼ばれた…!?環先輩に…!?

 これ、夢かな…!?




「…聞いてる?」


「はっ、聞いてます、聞いてます…!えっと、その…」





 あまりの衝撃に意識が飛びかけてた。

 緑色の瞳に、眉をひそめて見つめられていたものだから、わるい意味でドキドキして、あわてて答える。


 でも話しづらいことだなぁ、と思って言葉に迷っていると、自然と目が泳いだ。