「うっ…」
「ナンパしに来たなら帰って。希色を彼女にできるのは俺だけだから」
目を泳がせた男子は、バッと背を向けて図書室から出ていった。
ナンパって…環先輩、寝ぼけてるのかな…?
「環先輩…ありがとうございます。でも、あの、ナンパとかじゃないと思いますよ…?」
「…希色って、どんかん。そのうちだまされて他の男子について行きそう…」
「えっ」
「ダメだよ。希色は俺の彼女なんだから」
不機嫌オーラをしまって、両手で私の頬を包んだ環先輩は。
緑色の瞳でじぃっと私を見つめて、目を伏せた。
…それから。
どんどん顔が近づいてきて、ちゅ、と口にやわらかい感触がする。



