「ピースする?」
「…ほ、ほんとに、撮っていいんですか…?」
「うん。これでも写真部だし、よく被写体になるんだ」
うん、と言われてこそこそスマホを取り出す。
テーブルに寝そべったまま、顔のまえでゆるくピースをする環先輩を画面に収めると、ドキドキしながらシャッターボタンを押した。
パシャッと、きれいにほほえむ顔が切り取られる。
「ありがとうございます…!」
「どーいたしまして。って、なんのお礼?」
環先輩はふふっと笑う。
そんな当人にもドキドキしながら、すぐに写真を待ち受けに設定して、ロック画面を確認した。
環先輩がいる…!
これから毎日、この画面を見れるんだ…。
「ふわ~ぁ…あー、眠い。すごくねむい…俺と一緒に昼寝しよ。ね?」
「えっ?」
きょとんと、目を丸くしているあいだに環先輩の手が伸びてきて、肩を抱き寄せられる。
わ、わっ、とテーブルに腕をつけば、環先輩とおなじ体勢になった。



