【短】きみがいないと、糖分不足。

 えっ、なんで…!?

 図書室の常連だから顔は覚えられてるけど、そうやって話しこむほどの相手じゃないよね、私って…!?




「す、珠洲島(すずしま)先輩はなんでここに…?」


「…なに、珠洲島って。さっきは名前で呼んだじゃん。そっちでいいよ」


「えっ」


「姉ちゃんたちに“荷物持ち”って連れてこられたんだけどさぁ…女装させられそうになって逃げてきた。ひどいよね?出先でも迫ってくるなんて」




 環先輩はさっそく、だらんとテーブルに伏せって、両腕のなかに頭を入れながら私を見る。

 眉を八の字にして、不満げな顔をしている姿でさえ絵になってるなぁ…。


 って、ちがうちがう。

 いま、名前呼び許されちゃった?




「あー、眠い。すごくねむい…ここあったかいね」


「そ、そうですね」