「…希色は、俺に言うこと、ない?」
「えっ…!?」
首を傾げてはなしをふられ、ぎくりと体がこわばる。
環先輩…もしかして、私の気持ちに気づいてる…!?
「比較材料ができて、“かわいい”後輩ならだれでもいいわけじゃないんだ、ってわかったから。いまなら答えられるよ」
比較材料、と指をさした先にいるのは、友だち2人になぐさめられている前澤さん。
うつむいて顔を上げない前澤さんを見て、胸がいたんだ。
私も、ああなるんじゃ…。
「…どうどうと言ってくれるんじゃなかったの?」
「えっ…」
環先輩、やっぱり…!
「あのね。希色の態度見てたら、かんたんにわかるんだよ。俺、ずっと知ってた。…だから、言ってみて?」
「っ…!」
バレて、たんだ…っ。
それなのに、私…すなおに、しゃべっちゃって…。
はずかしい…っ。



