【短】きみがいないと、糖分不足。

 どうしよう…っ。




「…希色、まえに言ってた“クラスでいちばんかわいい子”って、この子のこと?」


「えっ、は、はい…!」




 とつぜんはなしかけられて、びっくりしながら顔を上げた。

 環先輩は「そっか」とうなずいて、前澤さんを観察するように見つめる。


 …あれ?

 私が前澤さんのことをはなしたのって、学校に行きづらい理由をはなしたときで…。

 私と“クラスでいちばんかわいい子”の好きなひとがおなじって、言っちゃわなかったっけ…!?


 ぶわっと顔が熱くなって、ふるえる手を離し、環先輩から距離を取ろうとすると、ぎゅっと手を掴まれた。




「俺、きみのこと知らないし、興味ない。だから、ごめんね」


「っ!」


「えっ」


「「楼音(ろね)…」」




 環先輩、断るの…?

 あの前澤さんなのに…?