「…ま、待ってくださいっ、環先輩!」


「…なに?」




 うしろから前澤さんの声がして、環先輩がふり返る。

 私もおそるおそるうしろを見ると、前澤さんは焦った顔で環先輩を見つめていた。




杉原(すぎはら)さんとっ、付き合ってるんですか…!?」


「…ううん」




 環先輩は横目にちらっと、私を見る。

 だったら、と言いたげに、前澤さんは環先輩に詰め寄った。

 前澤さんの友だち2人が、うしろで困惑した顔をしている。




「わたしも環先輩のことが好きです!わたしを彼女にしてくださいっ!」


「!」




 どくっと、心臓が冷たくなる。

 前澤さんが、告白しちゃった…。

 どくどくと、心臓がいやな音を刻んでいるから、私は目をつむった。