【短】きみがいないと、糖分不足。

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杉原(すぎはら)希色(きいろ)視点―


 ブブッとスマホがふるえる。

 私はおだんごを作りながら、視線を洗面台の上へと向けた。




[ごめん。母さんにお使い頼まれて迎えに行けなくなった。あとで学校に行くから、希色は先に行ってて]


「えっ…」




 ピンを刺す手が止まる。

 (たまき)先輩との待ち合わせがなしになった…。

 それってつまり…私1人で、学校に行かなきゃいけない、ってこと?




「っ…」


 ブブッ


[おめかしした希色はだれが見てもかわいいから、大丈夫だよ。俺が保証する。自信持って]


「…環、先輩…」




 追加で届いたメッセージに、胸が温かくなる。

 私はピンを奥まで刺しきってから、かがみを見つめた。

 前髪を編みこんで、顔を出した姿。