【短】きみがいないと、糖分不足。

「…」




 視線をそらしながら答えると、環先輩がだまりこむ。

 その反応がこわくて、ちらっと表情を見ると、環先輩はなぜかきょとんとしていた。




「…付き合いたいの?」


「えっ?」


「そうなんだ…」




 環先輩は答えを待たずに、視線を上げて考えこむ。

 視界に映る景色が見えていないような、どこか遠くをぼーっと見つめている瞳に、なんだかそわそわした。


 変なこと、言っちゃったかな…。




「…帰ろっか。あ、駅まで送っていくよ。なんか、希色のこと見てるひと多いし」


「えっ…あ、ありがとうございます…!」




 ドキッとして、思わずかばんの取っ手を握る。


 …私のことを見てるひとが多い??

 そ、そうかな。




「ん。…それと、どうどうと言ってくれるの、待ってる」


「えっ?」




 環先輩は私の口元をなぞって、口角をゆるく上げた。

 伏し目気味の視線が大人っぽくて、心臓がどくどくと跳ねる。


 どうどうと…って、なにを…?