【短】きみがいないと、糖分不足。

 ながい行列にならんでいるあいだ、私はずっと環先輩の手を意識していた。

 こうやって、環先輩と手をつなぐことが当たりまえになったらいいのに。




「俺たちの番、来たね」


「はいっ…」




 ガラガラと鈴を鳴らして、お賽銭(さいせん)を入れる。

 2回のおじぎと、2回の拍手をしたら、手を合わせて神様への願いごとを心に浮かべた。


 学校に行く勇気をください。

 どうどうと、環先輩のことが好きだって言える勇気をください。


 願わくば、環先輩と付き合えますように。




「…行こうか」


「はい」




 一礼してよこにそれると、「おみくじ引いてこ」と環先輩が私の手を引いた。

 巫女服を着たお姉さんにお金を渡して、おみくじを引く私を見ながら、環先輩は尋ねる。