【短】きみがいないと、糖分不足。



 えっ?

 私、環先輩と手、つないでる…!?


 元日ほどの混み具合じゃないけど、それでも人の多い階段を上がって境内(けいだい)に向かう。

 しれっと、“かわいい後輩”なんて言われてしまって、マフラーとコートが暑くなるくらいたかい体温を感じた。


 …いやいやいや、そもそも…!




「あ、あのっ、なんで私と初詣に…?」


「姉ちゃんたちから逃げたのと、希色が学校に行けるように祈願するのに」


「えっ」


「できることをしたら、あとは神頼み、でしょ?」




 常識を()くように、環先輩は横目で私を見た。




「きっと神様が勇気をくれるよ。…はぁ、ならぶんだ…」


「勇気…」




 階段を上り切った先の行列にため息をこぼす環先輩のとなりで、私はぽつりとつぶやく。

 神様に勇気をもらえば、弱い私でも学校に行けるのかな。

 前澤(まえざわ)さんたちと、顔を合わせられるのかな…。