た、環先輩と初詣っ…!

 どうして私にお声がかかったのかわからないけど…こ、断れるわけないし…!

 これ、ほんとにほんとかな…!?


 ううん、でもほんとにほんとだったら…!

 私はスマホの時間表示を見て、「ごちそうさま…!」と言いながら部屋に駆けこんだ。




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 おでこに冷えた空気がふれる。

 首に巻いたマフラーの感触も、肌で感じ取れた。

 視界になじむフレームの輪郭はないのに、看板の文字はぼやけていない。


 リップを塗った唇をきゅっと引き結んで、ふるえそうな手で、ぎゅっとかばんの取っ手を握った。




「お、おまっ、お待たせ、しました…っ」




 噛み噛みで声をかけると、紫色の頭はふり向いて、緑色の垂れ目が私を映す。

 ふにゃりと、その顔がゆるい笑顔に染まった。




「明けましておめでとう。…かわいいじゃん。こっちおいで」