【短】きみがいないと、糖分不足。



「よし、できた。こっち向いて」


「は、はい…」




 ぐるぐると髪を巻きつけるうごきが終わって、環先輩の手が離れる気配がしたあと、体を反対に向ける。

 ひざの上に手を置いて、おずおずと環先輩を見ると、その口はうすく開いた。


 それから、口角が上がる。




「うん、これ、好き。これで学校来て」


「っ…」




 好きって、また言ってもらえた。

 そんな意味じゃないってわかってるけど、心臓がおかしくなっちゃいそう…っ。




「耳のうしろでおだんごね。コンタクトは、眼科に行ってコンタクトしたいって言えば検査してもらえるから」




 環先輩はテーブルに置いたメガネを取って、私の顔にもどしながらいろいろ教えてくれる。

 鮮明になった視界に、ポケットからスマホを取り出す環先輩が映った。