ぼやけた視界に、環先輩の手のなかへと収まった私のメガネが映る。




「まずは髪だね。前髪は編みこんじゃおうか」


「えっ…」




 つるを折りたたんで、メガネをテーブルの上に置いた環先輩は、体をこっちに向けて私の前髪にさわった。

 ぼやけてたって、環先輩が私の顔を見てるのはわかるから、目が泳ぐ。


 前髪を持ち上げて、よこの髪も一束取って。

 細い指が頭皮をなぞって器用に髪を編んでいく感触が、鮮明にわかった。




「どんな髪型が似合うかな?俺の好きにしていーい?」


「は、はいっ…!」


「じゃあまずは無難にハーフアップ。よこ向いて」


「はいっ…」




 ドキドキするのに、環先輩を止めることもできず、言われるがまま顔をそむける。

 耳の上からよこ一直線に髪をすくい取られて、中央でひとまとめ。