おどろいて身がまえると、環先輩は初めて見る顔をしていた。

 そう…。




「希色が学校に行けるように、俺が手伝ってあげる」




 思慮ぶかく目を細めて、口の端をつり上げた、どこかいたずらな笑顔を。




「希色を、だれが見てもかわいい女の子にしてあげるよ」


「…えっ…?」




 環先輩の手が、私の顔に伸びてくる。

 ぎゅっと目をつむると、メガネを外される感触がして。




「ベールを外せばいいんだもん。数学の問題よりかんたん」




 ふふっと、笑う声が聞こえた。