この本、貸し出し不可かぁ。
しょうがない、ここで読んでいこう。
あたりをきょろきょろと見回した私は、図書館のすみのほうにあるテーブルに近づいて、静かにイスを引いた。
小・中学生向けの児童文庫を卒業してから、かれこれ半年以上。
いっそうきびしい冷えこみが続くようになった12月の末に、私は1人で街の図書館へと来ていた。
学校はいま、冬休み中。
とは言っても、私、11月から学校に行ってないのだけど…。
「…」
静かな足音や、本を出し入れする音、司書さんが雑務をする音を聞きながら、館内閲覧の本を読む。
ここは野いちご学園の図書室と空気が似ている。
ううん、学校の図書室は司書さんの位置に、“図書室の眠り王子”がいるからもっと静かなんだけど。