「そうかな?俺は分不相応なんて、思ってないけど」
ドキッとして、息が詰まる。
そんなわけないのに、その答えがまるで、私の好きなひとを知ったうえでの発言、みたいに聞こえてしまった。
私、環先輩に“分不相応じゃないよ”って、言って欲しかったのかな。
「それに、希色もかわいいでしょ?」
さらりと、前髪を右に流すようにどかされて、おでこが空気にふれる。
「…えっ」
一拍遅れて、じゅわりと顔が熱くなった。
いつもよりクリアになった視界に、まっすぐ私の目を見つめる環先輩の顔が映って。
「うん、かわいい」
その顔がふにゃりと笑うものだから、私は「えっ…!」と声をもらしながら身を引くしかなかった。
「“俺”は気にしないから、学校、来て?」
「あっ、あのあのっ…!」



