【短】きみがいないと、糖分不足。

「あぁ、数学の先生。希色(きいろ)も苦手なの?」


「い、いえ…1年生と2年生じゃ、担当の先生、ちがうので…」


「あぁ。そういえばそうだったね…じゃあ、なんで学校、いやなの?」




 まだ頬の熱が引いてないのに、ぱちりと緑色の瞳に見つめられる。

 澄み渡った湖面みたいなその瞳には、なんでも見透かされてしまいそうで、すぐに視線をそらしてしまった。




「そ、それは…」


「希色。目、そらさない。ちゃんと俺見て」


「っ…」




 ドキッとして、おそるおそる視線をもどす。

 そんなふうに言われてしまったら、逆らえるわけがない。




「ん。いーこ」




 環先輩はふにゃりと目を細めて、口角をゆるく上げた。




「学校の、なにがいやになっちゃったの?」


「…クラスメイトと、顔を合わせづらくて…」