…でも、席にもどった私を待っていたのは、前澤さんたちのけわしい視線だったんだ。




「楼音のほうがかわいいのに、なんであんな地味なやつが」


「珠洲島先輩に連れてかれたからって、調子乗んなし」




 聞こえた言葉と、他のクラスメイトのちらちらとした視線から、私はすべてを悟った。

 とどめは、




杉原(すぎはら)さんって、あの先輩のことが好きなのかな?」


「ね、顔まっかだったし…」


「あの先輩って、楼音ちゃんの好きなひとだよね?」




 そんなひそひそ声。

 視線の集中砲火、“ふさわしくない”の陰口、嘲笑…これからの未来を想像したら、私の心はかんたんに、ぽっきりと折れてしまったんだ。