「残念ながら、お題は“チョコ”そのものなので、ゴールならずです。どこかに必ず用意されているので、もう一度探してきてください」
「え~…」
「ご、ごめんなさい…」
明らかに不満そうな環先輩を見て、落ちこむ。
図書室に行く日しかチョコを持ってきてないことが、こんな結果になるなんて…。
今日、チョコ持ってくればよかった…!
「…責めてないし、そんな顔しなくていーよ」
ぽん、と頭になにかが乗って、視線を上げた。
頭上から離れていくのが環先輩の手だとわかったとたん、心臓がドキドキッと跳ねる。
あ、頭、なでられ…っ!
くらりと倒れそうななか、環先輩が私の手を離して、また走っていくのを見届けて。
私は、ゆっくりと自分の席にもどった。
頭のなかは、環先輩の手の感触でいっぱい。



