こんなもんかな……?
大まかな計量を終え、ふと琥太郎くんに視線をを移す。
その瞬間、パチッと視線が合って、なぜか少しだけドキリとしてしまった。
「あ、立栞先輩、計量終わりました?ありがとうございます!じゃあ、あと俺が混ぜちゃうんで小麦粉ください」
「うん。はい、どうぞ」
素直に計量した小麦粉のはいったボウルを渡すと、ササッと卵、牛乳、砂糖など必要な材料を混ぜて手際よくクレープのタネを作る琥太郎くん。
「琥太郎くん、やっぱり手際いいね〜」
「まぁ、いつも料理してるすっからね。さ、生地のタネもできましたし、あとはフライパンで薄く焼くだけですよー。立栞先輩、大量生産しましょ!」
楽しそうにコンロの上にフライパンを準備し、バターを溶かし始めた姿が微笑ましくて、思わずクスッと笑みがこぼれる。
その時、ふいに。
千歳は教えてくれなかったけど、さっきの伊緒くんの件、琥太郎くんなら答えてくれるんじゃないかな……?
そんな淡い期待が脳裏によぎった。
「ねぇ、琥太郎くん。本当は聞いちゃいけないのかもしれないけど……。さっきの伊緒くんのこと……っ」
そこまで言いかけた私は思わず口をつぐんでしまう。
だって、琥太郎くんが小さく首を横に振っている姿が目に入ってきたから。
「すみません……。千歳先輩が言わなかったこと俺の口から言えないです。でも、立栞さんが心配するようなことはないんでそこは、安心してくださいね」



