「クレープなら、今、家に小麦粉、卵、砂糖、牛乳、バターもありますし……。とりあえず生地の試作だったら簡単に作れるっすよ」
台所をゴソゴソと確認し、私達に向かって声をかける琥太郎くん。
さすが日頃から料理をするだけあって、大まか必要なものはそろっているみたいだ。
「あとは、クレープの中身っすね。誰か適当に買ってきてもらっていいすか?俺、生地作っとくんで」
ニコッと爽やかに微笑んで、腕まくりをする琥太郎くんに対して。
「あ!じゃあ、私も琥太郎くんと生地作り手伝うよ。去年の文化祭でクレープ作ったから、作り方だいたいわかるし」
と、私も名乗りをあげた。
遅刻してきた分取り返さねないと……!
それに、1人より2人のほうが仕事がはかどるはずだしね。
「……じゃあ、俺も……」
「おい!千歳は、全然料理できないんだから買い出し係に決まってんだろ」
「……」
史緒くんにツッコまれ、不機嫌そうな様子の千歳。
そんな彼を見て、目を見開いたのは事の顛末を見守っていた杏花ちゃんだ。
「千歳さんって、意外と子どもっぽいところあるんですね……。そんな表情の千歳さん、私、初めて見ました」
コソッと耳打ちしてくる杏花ちゃんに「アハハ……。意外とね」と私も小声で返答する。



