いつもなら、このあたりで伊緒くんのダメ出しなり、フォローなりが入りそうな場面なのに。
さっきから声がしないと思えば、アパート内に伊緒くんの姿は見えなくて私は首を傾げる。
「伊緒は、今日は別の用事があって不参加だよ」
一番初めに答えたのは千歳だ。
普段通りの千歳の様子だけを見れば、伊緒くんは、偶然用事があって来れなかったんだなと納得していただろう。
けど……。
「そ、そうっす!伊緒先輩忙しいから……。アハハ!」
嘘をついたり、ごまかすのが異常に下手な琥太郎くんは明らかに視線が泳いでいて、何か隠していることはバレバレだった。
また何か私に言えないことでもあるのかな……?
そう思ってチラリと史緒くんを見ると、心なしか元気がないように見える。
「別の用事……?」
「あぁ、ちょっとな。ま、立栞は気にしなくていいから」
チクン。
千歳の素っ気ない物言いにチクリと胸が痛むのを感じた。
「……」
関わるなと最初から線を引かれた気がして、それ以上質問をすることさえはばかられてしまう。
普段の千歳なら、こんな冷たい言い方絶対にしないのに……。
今回、伊緒くんが不参加な理由について、よほど、私に関わってほしくないみたいだ。



