結局、場所がわからなくて途方に暮れてしまっているのだから。
ま、まぁ……。でも、すぐ近くまでは来てるはずだし。
申し訳ないけど琥太郎くんに連絡いれてみようかな……。
そう思って琥太郎くんに電話をかけようとした、その時。
前方から歩いてきた中学生くらいの女の子の姿に私は目が釘付けになる。
あれ……?あの子ってもしかして……??
気づけば頭より先に身体が動いていた。
「あのっ!すみません……!」
「は、はい……?私に何か用ですか??」
急に知らない人に話しかけられたことに驚いた様子の女の子は、パチパチと目をしばたたかせている。
「……間違ってたらごめんなさい。もしかして、榊 琥太郎くんの妹さん……?」
そう。
実は、先日見せてもらった琥太郎くんの妹さんの写真に彼女がソックリだったのだ。
おそるおそる尋ねる私に向かって。
「……お姉さん、お兄ちゃんの知り合いですか?」
怪訝そうな表情で問いかけてくる女の子に私は内心ホッと胸をなでおろす。
やっぱり、琥太郎くんの妹さんだったんだ……!
たしか名前は杏花ちゃんだったよね?
「そ、そうなんです!実は今日、文化祭のカフェメニューの試作を琥太郎くんの家で作ること聞いてます?」
「あ、はい。千歳さんたちが来るって……」



