それに、心葉ちゃんもそのへんは理解があるみたいだけど、カノジョが何人もいるような話もしてたし……。
私にとって南翔くんは、今まで出会ったことのないタイプすぎて正直どう接していいかわからない。
それに、もし体育科が出てくるのなら、白浪女学院の生徒を招待するのには反対だ。
「……立栞、どうかしたか?」
不意に千歳に声をかけられ私はハッと顔を上げる。
「さっきね、理事長から言われたんだけど、黒涼祭1日目に白浪女学院の生徒を招待しようと計画してるって。でも、私は……体育科の不参加がハッキリしないのであれば、白浪の生徒会長として許容できないわ」
悩みつつ、意見を述べる私に千歳を含めた他の生徒会メンバーも頷いていた。
「そこは俺からも理事長に打診しておくよ。正直、アイツらの動きは読めない。白浪女学院の生徒を招待するのは危険だから。というか、立栞も気をつけろよ?南翔からちょっかいだされたりしてないよな??」
ピクッ。
「大丈夫!なんにもないから」
慌てて取り繕うように私は千歳に向かって、笑顔を浮かべる。
実は、先日のカフェでのトラブルに関しては、私が伊緒くん、琥太郎くんに頼み込んで、千歳と史緒くんには秘密にしてあった。
事を大きくしたくないのもあったし、これ以上千歳に動きを制限されては、トレード留学に支障が出てしまうと思ったのが大きな理由だ。
実際、この間も千歳の指示で私のことを伊緒くん達に護衛させてたわけだしね。
(まぁ、あの時は助かったけれども…!)
千歳の過保護が日に日にひどくなっているのを、不憫に感じてくれているのか、2人とも今のところは黙ってくれていて私も助かっている。
けど、先ほどの私の反応を怪しんでいるのか、ジッと見つめてくる千歳に冷や汗がとまらない。
とりあえず話題を変えないと……!
「そういえば、1日目はカフェをするって言ってたけど、私は何を手伝えばいい?」
そう思った私は、当たり障りない疑問を皆に投げかけていた。



