「立栞、大丈夫?やっぱり私も一緒に行こうか!?」

「会長〜。ごめんなさい、私、私…」

理事長室を後にし、自分たちの教室へと戻る道すがら心配そうにオロオロする有紗とポロポロと大粒の涙ををこぼす美心。

「2人とも大丈夫だから、とりあえず落ち着いて?それに、あなた達をどこの馬の骨かわからない男子共の巣窟に送り込むわけにはいかないもの」

ニコリと笑顔を向け、私は2人を安心させるよう努める。

有紗と美心が取り乱しているのは、白浪理事長の『トレード留学』発言が原因だったー。





「白浪女学院代表ってわけだし、代表者は生徒会のメンバーがいいかなぁって思うのだけれどどうかしら?」

私達の顔を順番に見つめる笑顔の理事長に完璧にビビッてしまっている有紗と美心は、顔色が悪い。

それもそのはず、普通の女子校に通う生徒が突然、しばらく男子校に通えだなんて言われても、二つ返事でOKする子の方が珍しいに違いなかった。

「……」

「……」

押し黙る2人を見つめ、私は意を決する。

他の子に任せるわけにもいかないものね。

「白浪理事長、私が…生徒会長として、行ってまいります。よろしいでしょうか?」

なるべく、凛とした口調で理事長に声をかける私に有紗と美心が小さく息を呑むのが伝わってきた。